春、張る。

東京では、昨日桜の開花が発表されましたね。
ここ、裏湘南、裏茅ヶ崎でも、桜の花が2輪ほど咲いていました。

まだ花になっていない蕾たちも色づいて、
今咲かんばかりに、弾けんばかりに「張って」います。
まさに、「春」の名にぴったりの状態です。

当工房では「銀張」「銀張有線」という技法を
主な技法、得意な技法としています。

「銀箔」を「張って」素地に焼き付け、色釉薬を重ねてゆく技法です。
七宝焼にも様々な技法や手法、制作品、形状があります。

「銀箔」を「貼る」のではなく「張る」と書きます。
なぜでしょうか。

制作する途中を見ていただく機会があれば分かりやすいです。
絵模様を描いた銀箔を「弛む」ことなく「張る」必要があるんです。
かといって「張りすぎる」と銀箔が破れたり、
絵模様が消えてしまったり、良い出来上がりになりません。

もちろん、焼き付ける時にも温度の調整が肝心です。
「緩んだ」温度では、綺麗な状態で焼き付きません。

いい張り加減が必要です。
緩んでも、張りすぎても、うまくいきません。

ふと思い、足元をみると「張りすぎ」が多いような・・・
「頑張ります」とか「欲張り」とか「緊張感をもって」とか・・・

今ある力を尽くすこと、
あれもこれもではない、少しの欲をもつこと、
ここぞという時に、スイッチを入れること、
ある程度の「張り」は必要だと思います。

でも「張り」すぎは、結局うまく行きませんね。
「銀張」と同じでしょうか・・・
手仕事を通して、人生に必要なことを学んでいます。
自戒をこめてここに書いておきます。
そんなことを感じている「張る、春」です(笑)

それでは、新しい環境をスタートさせる方は「張り切りすぎず」
しんどい時は「意地を張らず」誰かに助けをもとめて
好い春をお過ごしくださいね!

銀張有線の銘々皿「咲く楽〜さくら」